株式会社CAC Holdings

HOME >  サステナビリティ >  特集:社外取締役×D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)有識者 対談
CAC Holdings 社外取締役 松尾 美香 株式会社アワシャーレ 代表取締役 小嶋美代子氏

CAC Holdings 社外取締役 松尾 美香

CAC Holdings 社外取締役
松尾 美香

外資系金融機関などで人事業務に携わり、現在は飲料メーカーの人事担当顧問などを務める。
2021年3月より当社取締役。

株式会社アワシャーレ 代表取締役 小嶋 美代子 氏

株式会社アワシャーレ 代表取締役
小嶋 美代子 氏

IT企業でのダイバーシティ推進経験を活かし女性活躍やD&Iについての講演や調査、サポートなど多岐にわたる活動を行っている。

外国人や障害者など多様性は豊かも、課題は女性活躍への取り組み

小 嶋

2021年3月にCAC Holdingsの社外取締役に就任し、約2年が経ちました※。就任のきっかけは、これまで皮膚科医として病院勤務をするかたわら産業医として企業と関わる機会があり、その中でのご縁でした。医療として企業と関わる機会があり、その中でのご縁でした。医療とITはまったく異なる業種ですが、企業にとって最重要である「人」という部分で、これまで数えきれないほどたくさんの人と診療を通して対話してきた経験が何かのお役に立てるのではと思い、就任を決めました。

松 尾

サステナブル経営については役員会で何度か議論しています。しかし、D&Iだけをトピックに上げたことはありませんね。というのも、CACグループには外国人籍の社員が多いため、もともと多様性が豊かだという認識があるからでしょう。そこで私が「女性は?」と聞くと、「女性の話は取りあえず脇に置いておきましょう」といった雰囲気があったことは確かです。
ただ、女性活躍に向けた特別なアクションを取っていないにもかかわらず、今回の小嶋さんのレポートで業界水準より高い数字が出たことで、それは明るくフラットな社風があるおかげだと再確認することができました。

小 嶋

CACグループでお会いする方々が皆さん元気で、かつ自分の意思をしっかり伝えられる印象があります。ただ、D&Iというとどうしても女性と外国人の活躍がスタート地点になりがちですよね。

松 尾

一般的にはそうかもしれませんが、当社グループの場合、障害者スポーツ「ボッチャ」の普及・支援活動を通じて、障害者に対する意識も高いと感じています。会社を挙げて障害者が参加できるスポーツに関わることは、社員の意識を上げるためにとても重要なことであり、そういった面からはD&Iが浸透していると言えます。
また、CACグループの外国人に対するオープンな姿勢は、実は、日本企業ではあまり見られない現象です。なぜCACグループにそのような現象が起きたのかははっきりわかりませんが、技術を通して国内外の子会社交流なども行われているようですし、また、プロジェクトによっては海外のパートナーと共同で顧客にサービスを行っていることを考えるとカルチャーを超えて、技術という共通言語で理解し合っているのではないかと考えています。そこに、女性活躍も含めた多様性を受け入れるアクションを取り入れれば、さらに素晴らしい結果が出るのではないかと思います。

経営トップの“本気の決心”がD&I推進のカギ

小 嶋

一般的に女性活躍を阻害する要因として、長時間労働ができないことなどが理由にされる場合が多いですね。

松 尾

その長時間労働をこれからの若い世代が受け入れるかというと、きっと受け入れないでしょう。人材獲得が全世界的な課題となる中で、女性を含むすべての社員に優しい企業になることは、これからの労働力、特に優秀な人材を確保するためには必須です。
また、「転勤」についても女性の活躍を阻む壁とされていますが、リモートワークなどのITを活用すれば、解決できる場合も多々あるでしょう。加えて、現在、CACグループでは、女性向けのリーダーシップ研修などは行っていませんが、これからスピードアップして経営陣に加わる女性を育てるためには、そういった研修を取れ入れていく必要があるのかもしれません。私個人としては、男性だけ、もしくは女性だけというのは本意ではないのですが、今まで女性が受けてこなかった研修があるのならば、受けた側に追い付くための女性向けの研修を行うのは致し方ないことです。 こういったD&I推進の道を切り開くには経営トップの“本気の決心”が不可欠ですが、CACグループの西森社長は考え方も柔軟で納得すればすぐ動いてくれる行動派ですから、今後、取締役会で議論を深めていくつもりです。

小 嶋

西森社長は、Visionを実現するための行動規範として「Five Values」を制定されました。Creativity、Humanity、Challenge、Respect、Pride の5つの言葉のうち、きもとなるChallengeマインドを持つ人をどのように育てていくのでしょうか。

松 尾

取締役会では、現在の取締役会のメンバーや執行役員の技術や資質を、世代から世代へとバトンでつなぐ“アカデミー”のようなものを立ち上げられたら、という話が出ています。また、私が接点を持っているCACグループの社員は、技術もあり、経営マインド、リーダーシップもあってとてもバランスが取れていますから、そういうところもきちんと継承できるといいなと考えています。
これはあくまでも私の希望ですが、最近、日本人では男女ともに理系が少なくなっていると聞きます。CACグループはサステナブルな経営と技術を提供している会社ですから、若い世代の人たちのため、未来の日本のために、技術面での教育を充実させることができるはずです。例えば、小・中学校、高校の女性も含めた技術教育の推進など、幼い頃から“理系”の楽しさを感じてもらえる取り組みを男女問わずにサポートできれば、CACグループでも優秀な人材の獲得が実現しますし、グループ内にとどまらず、他の企業にも貢献できると考えています。

経営体制のダイバーシティが進む価値企業。事業もサステナブルに。

小 嶋

経営体制のダイバーシティは進んでいるのでしょうか。

松 尾

会社を経営していくにはものすごいパワーが必要です。西森社長はとてもエネルギッシュで、経営体制という面でも前任の社長からうまいバトン渡しが行われていると感じています。これは今後も継続すべきことの一つです。また、外国人の執行役員もいることから、外国人に対する経営も広がっていると言えるでしょう。ここに女性が加わるとさらなる多様性が期待できます。できればグループ内から経営に加わる女性が育ってほしいですね。社外取締役とは役割が違いますから。その社外取締役に関しては、私の他にもう1人医師をされている女性の方がいます。このように、ビジネスパーソンだけでなく違う観点を持った人をきちんと招聘へいしています。

小 嶋

経営層の中のダイバーシティが実現されている会社はまだ少ないですから、そういう意味でも価値ある経営体制だということですね。経営からトップコミットメントもあり、そして経営体制も多様性がある。課題は現場でどう人材育成をしていくのか、という点ですね。

松 尾

そうですね。CACグループはフラットで風通しのいい風土がありますから、それをうまく活用してほしいと思っています。 例えば私が目に付く範囲になりますが、取締役会の事務局の方々が皆、男性ばかりということが気になったりします。 事務局すべての人員が男性かどうかはわかりませんが、社内に男性中心の組織になりやすい要素があることを意識してそこを変えていけば、もっと良くなるのではないでしょうか。 CACグループはシステムインテグレーション(SI)の会社であり、様々な業界にも影響力のある会社です。女性活躍など多様性をサポートするビジネスを世に提供できれば、社員たちはさらにやりがいと誇りを感じるはずです。人や組織だけでなく、事業自体がサステナブルでなければいけませんから。 これからもこういった視点で取締役会において発言を続けることでCACグループの経営に貢献していきたいと思います。

小 嶋

CACグループがこれまでも外国人や障害者の方々を広くオープンマインドで受け入れてきたように、女性を含む優秀な人たちすべてに門戸を開き、成長する会社であり続けてほしいと思います。